初デート

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私がそんな彼に見惚れていると、彼は突飛もないことを言い出した。 「どうですか?腕でも組んでみますか?」 「えっ?」 「恋人ならそれくらいはするでしょうから」 確かに、それくらいならした方が不自然じゃなくていいのかもしれない。 「はい」 少し恥ずかしそうに私は答えると、浅井さんは距離を詰めて、自分の右腕をスッと差し出してきた。 私は緊張しながら、その右腕に左腕を絡ませた。すると、彼は満足そうにその腕を自分側へと引き寄せた。 更に肩がぶつかってしまい、赤面している私に彼はこう告げた。 「もっと自然に」 「すみません」 「謝らないで、俺は嬉しかったんですから」 彼はそう言うと、確かに嬉しげな、だが照れたような表情で此方を見ていた。 私はもう目なんて合わせてられなくてパッと背けた。 ヤバい…こんな顔を見せられたら、うっかり恋してしまいそうになる 私の心中はパニック状態だったが、彼はお構いなしにこう言った。 「じゃあ、お店に入りますよ」
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