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それから、数分後に食事が運ばれて来た。
コースメニューの最初はアペリティフ(食前酒)から始まる。フランス料理ではシャンパンが主流だ。
次に運ばれて来たのはアミューズで、これはつまみのようなものが多い。このとき一緒にワインとグラスも運ばれて来た。
薄いフランスパンと、豚肉のリエットが添えられていた。初めて見る食べ物だったが、パンにリエットを乗せて食べるようだった。
浅井さんは、食べ慣れているのか特に感動する様子もなく、淡々と口にしていた。
結婚式でなら簡易なものは食べたことがあったが、和製フレンチが多かったように思う。食べ馴染みしている食材が多いという意味では安心出来るが驚きは薄かった。
リエットはちょっと独特な味がした。でも、私はまだ始まったばかりなのに、本格的なフレンチの味に、既に頬が溢れ落ちそうだった。
次に運ばれてきたアントレ(前菜)は3種だった。
料理を持って来たスタッフさんが、お皿を提供する時に、料理の説明をしてくれた。
「左からムール貝のマリ二エール、タコと香味野菜のバジルソース、パテ・ド・カンパーニュでございます」
マリニエール?パテ・ド・カンパーニュ?
知らない名前が沢山出てきたけれど、私が目を輝かせていると、対面にいた浅井さんが尋ねてきた。
「もしかして、フレンチ初めてなの?」
私はパッと顔を上げると、彼が不思議そうに此方を見ていた。
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