初デート

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恋人ほどの重い存在より、空気感や安心感のある存在。 案外結婚してない人や、パートナーを持たない人間でもあって、精神的に落ち着く相手を求めてる人は世の中多いんだろうと思う。 レンタルビジネスでもいいと思う人いれば、浅井さんのように個人的な交渉で相手と一線引くために金銭授受の関係で済ませたい人もいるのかも知れない。 理想的な関係性 それを維持するのが必ず恋愛である必要はなくなったということか… 「まだ、食べないの?次料理来ちゃいますよ」 「いえ、食べます」 色々考えるとモヤモヤしてしまうこともあったが、私にとってもそう悪い話ではないのか あー、最近こういうの流行ってるんだっけ? なんて言ったかなと考えながら舌ヒラメのムニエルにナイフを通していると、スマホが震えているのに気付いた。 また、非通知からだった。 私はどうしても気になって電話に出た。 「はい」 浅井さんに頭を下げると、店の入り口へと向かった。 「あ、夜分に失礼します。株式会社R emotionの赤西です。先日は面接にお越しいただきありがとうございました」 「はい、此方こそありがとうございました」 「この度弊社で選考させていただきました結果、採用させていただきたいなと思いまして、今お時間少しよろしいですか?」 「はい、ありがとうございます!!」 私は思いがけない結果に、テンションが上がって声が上ずってしまった。 「実は、急で申し訳ないんですが、ちょっと職務内容に変更があるんですが、それでもよろしいですか?あと、正社員というよりは契約社員という形になるんですが…雇用形態については再度確認しに来て頂けたらと思います」 「変更ってなんですか?それに伺うとしたら、いつですか?」 「週明けにお越しいただけたらと思います」 「月曜日ですか?何時ですか?」 「10時でお願いします。急ですみません。詳しくはまた月曜日に、では失礼致します」 赤西さんはそう言うと、電話を切った。 私はスマホの画面をメニューに戻すと、店に戻った。
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