プロポーズ

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「6月29日…」 「何か?」 「いや、今週誕生日なんだなって」 「あぁ、はい」 あぁ、ついに30になってしまう。私はそう思っていると、彼は早速質問してきた。 「では、佐々木さん、初めに2つお伺いしたいことがあります。まず、現在の暮らしについて、一人暮らしですか?ご実家にお住まいですか?」 「一人暮らしです。私の産まれは神奈川ですが、家族は今は祖父母がいる九州に居て、事業を継ぎました。大学を卒業してからは私は一人暮らしです」 「分かりました。次は異性同性含めて、どなたか、親しい方が近くにいらっしゃるとか、恋人は現在いらっいますか?」 「いません」 私はちょっと俯き加減にそう答えた。 彼はそれ以上その話題について触れては来なかった。 「この面接において、重要なのはあなたが如何にこの事に関心があるか、それだけです。僕自身ビジネスでは上手くやれるかより、情熱を持って取り組めるかを重視しています」 情熱か… 私は派遣を転々としているからか、採用が出れば、それが一番な気がしてなかなか情熱を重視したことはなかった。 彼はソファーから立ち上がると、デスクに向かい何かファイルを手に取り戻って来た。 そして、私にそれを差し出して来た。 「これ、僕に関する情報です。身体的なものや性格についてと成育過程なども少しはまとめてあります。ビジネスである以上、お互い100%の関係は求められなくても、ある程度は親しくすることも求められます。それを覚悟いただきたいなと思うのが正直なところです」 「はぁ…」 私は途端に自信が持てなくなってしまった。 覚悟が出来ないとかそんな余裕はあるはずもない。でも、結婚のフリとはいえ親しくって… つまり… 「どうかされましたか?」 「いや、あの具体的にどんなことをすればいいのかなと思いまして」 彼は緊張した様子の私ににこやかに笑いかけると、話始めました。 「そうですね。まず、一つ今扱っている案件で子育てを含めた支援事業がありますから、そちらのお手伝いをお願いしたいなと言うのはあります。他には、度々呼ばれる経営者関係のパーティーに参加する際同席して貰えたらなと言った感じですかね」 彼はそう説明すると一息ついた。 「まぁ、大体はそんな感じです」
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