初デート

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人に見られていないとはいえ、ここは外だ。 それに、さっきから私は身体の奥から這い上がってくる熱と甘美なキスの感覚で目眩がしそうだった。 なんというか、今まで味わったことない興奮と切ない感覚に、身体も心も過剰に反応してしまっていた。 一方、浅井さんはそうして私が身動きとれない間に、舌先で私の歯列を軽くなぞって、上顎に思っいきり押し付けると、逃げる私の舌に絡みついてきた。 唇の端からは思わず吐息が漏れる。 「んっ ふぅ…」 もう、ダメだ 私が薄目で彼の顔を確認すると、今度は視線まで絡まった。だが、いよいよ脳内がフリーズしそうだと思っていたら、彼はパッと私を解放した。 少し距離をとり、軽く右手の甲で口元を拭った浅井さんは、意地悪そうにこう言った。 「これくらいで、興奮するなんて青いですね」 「ち、違います。あなたがいきなり、こんな場所でそんな…」 「そんな?」 「ダ、ダメです…こんなのダメ」 私は身を縮こまらせて口元を両手で押さえた。すると、彼はつまらなさそうに口を尖らせた。 「まだまだ夜はこれからなのに…」 私はこの先なんて、到底耐えられそうになかった。だから、先手を打つようにこう言い放った。 「今日はもう帰ります!!」
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