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「どうして朝武に行きたいんだ?」
「朝武に行けば、父さんと同じ世界が見られる。それにもし、受かれば一緒に住みたいんだ、父さんと」
碧音はニカッと歯を輝かせて笑った。
宏光は返す言葉も無かった。
「いいよね?中学生になったら、家事もする。部活は今は入らなくてもいいらしいから、出来れば部活はやりたくない」
「あぁ。部活は別に構わないけど…一緒に住むのは仕事もあるし、住んでも色々してやれないことも多い」
「いいよ。それでもいい」
碧音は目を輝かせて言った。宏光が思うより彼の意志は堅そうだった。
フードコートからゲームセンターまでの移動はそう長くはかからなかった。でも、宏光にとっては随分長く感じられた。
碧音を1人にしたかったわけじゃなかった。
でも、長く一緒にいると思うように仕事が出来ないのも事実で、仕事に支障をきたなさない程度に付き合っていくのが心地良かった。
それが最善かと問われると何も言えなくなるが…もし一緒に暮らすとなると、彼女とか家には呼べない…
いや、なんで彼女のこと考えるんだろう?
宏光が困惑していると、碧音がいつものゲームの列に並ぼうと声を掛けて来た。
そのゲームは今人気のガンシューティングだ。
碧音は必ずこれをやらないと最近は気が済まないらしかった。
一際目立って人気があるゲームで、不滅の銃(マンガン)とゲームの機械にはデカデカと書かれていた。
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