新しい風

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勉強については、浅井長次郎が独学では難しいと優秀な家庭教師をつけてくれた。だが、それも週2回で、後は自学自習だった。 それでも、家庭教師のおかげもあってか、飲み込みの良かった宏光はみるみる成績を上げ、全国模試でもランキングに入るようになった。 学校の教師も驚きを隠せない様子で、また中学受験組の塾通いからは陰湿な嫌がらせに合うことも度々あった。 それでも、チャンスのためなら宏光にとって受験勉強などなんの苦労でもなかった。 だが、スポーツだけはそのような援助はなく、仕方なく、自分で始めたのが缶を的にボールを当てる訓練だった。 ところで、弓道の利点はもう一つあった。 弓道はなかなか普段馴染みがなく、みな初心者が集まるということだ。だが、朝武は弓道と剣道は全国大会のレベルでも強豪らしく、ここで暁賞に大手をかけれるなら、浅井一族にも示しをつけやすいと宏光は踏んだのだ。 それから猛勉強と体力作り、2年弱をストイックに生きた宏光は、見事朝武に合格し高校1年で全国大会を制覇し、暁賞の栄誉を得た。
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