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宏光は画面右側からモンスターが現れた途端、銃口をその方向に向け、眉間に照準を合わせるとわずか1秒ほどで相手を倒した。
隣で何度もゲームをプレイしている碧音が必死に照準を合わせるだけで、モンスターを逃してる間に、左側にいた宏光のクリアカウンターは次々とその数を増やしていた。
たった3分ほどのプレイでスタンダードな装備であれば10体打ち抜けば十分らしいが、宏光は気付けば1分弱でとっくに16体は倒していた。
碧音はやる気なさそうにしていた父が、無表情でモンスターを撃ち抜くその様に気圧されて自分の手元はブレまくってしまっていた。
あっという間の3分だった。
そして、このゲームの1番人気の秘密。それが最後に用意されてるガチャにあった。
スマホじゃ課金しないと出ないレアガチャがモンスターのヒット数に応じて出現する割合が増えるのだ。
大人からすれば300円の課金はなされてるはずだが、子供からすれば親に強請りやすい点ではこのゲームはよく考えられているように思う。
ガチャ課金の大半は大人が行うが、一説によれば一月あたり平均4191円以上使う20代が増えているとのこと。多い人は10万や20万つぎ込む世界。
ガチャが何故、これほど大人や子供に人気なのか、それは言わずもがなギャンブル要素ともう一つがお得感だと思う。
普通じゃ買えないレアアイテムを僅かに課金させることで出現率が上がるとプレイヤーには告知して、色んなイベントを仕掛けて彼らを満足させる。
そうして、ゲームにのめり込むのを想定して僅かな課金で長く興味を惹き続ける。
ゲームセンターに来る層は少なくとも、1000円以上は使うのが一般的だ。一回300円なら親は子供にお金を与えてしまう。
そして、親が1000円以内だよとお札を一枚渡せば、このゲームにハマった子供は3回はチャレンジする。それが月や年単位になれば…
そうゲームセンターは子供のギャンブルを可能にした場所だ。
たまのご褒美だと思えば親はついつい財布の紐を緩めてしまう。
見ての通りゲームを終えた碧音は満足そうだった。
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