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「父さん、カッコ良かったよ」
愕然とした宏光をよそに、碧音は興奮気味に話掛けてきた。
「そう?」
「うん、なんか父さんじゃないみたいだった」
「いつも通りだけどね」
「なんか、やってたの?初めてやったんだよね、あのゲーム」
「まぁね。ゲームとは関係ないけど」
碧音はちょっと悔しそうにしかめっ面で此方を見上げていたが、宏光は相手にしなかった。
そういや、俺もあんな顔してたことあったっけな?将棋に負ける度、ああやって養父を睨みつけていた。
ゲームセンターを出た2人は、百瀬の家に向かった。
2〜3時間ちょっと碧音と過ごして、いつものようにお別れ。
百瀬のウチには20分程で着いた。
玄関の前にはさっき連絡したからか詩子が待ってくれていた。
「おばあちゃんただいま。宿題やったら、その後ゲームやっていい?」
「いいよ。手洗い、うがい先にしなさいよ」
うん、わかったと、碧音は生返事を返すと玄関の扉を勢いよく開けて中へ入っていった。
「お疲れ様」
「いいえ。此方こそいつもありがとうございます。これ、今月分です」
宏光は手にしていた茶封筒を詩子に手渡した。
「いつもありがとう。あの、ちょっと話したいことがあって上がっていけるかしら?」
詩子は少し思い悩んだ様子で宏光にそう告げた。
宏光はいつもとは違う詩子の様子にはいと小さく頷いた
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