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「やっぱりね…。女性である以上仕方ないとは思いますが、難しいものですね恋愛感情を排して結婚するというのは」
考え込んでしまった私を見てか、彼はそんな言葉を呟いた。
私は疎ましがられるだろうと思いつつも、こんなことを尋ねた。
「あなたにとって結婚は恋愛とは全く別物ですか?」
「そうですね。かぶる要素はあっても全く別物ですね」
「でも、貴方一度結婚してますよね?奥さんのこと愛してらっしゃるから結婚したんじゃないんですか?」
彼は眉を顰めると、呆れたように、いや軽蔑したかのような視線で私を見た。
「何ですか?」
「いいえ、別に。ただ、私にとって時間は貴重でしてね、そろそろ本題について話始めないと時間がないものですから其方を聞いてから自宅の方で再び考えていただけたらと思います。
うちとしては、履歴書拝見する限りまだ選考から落とすつもりはございません。
ですが、もしご結婚という内容の充実に理想があり、この提案にご不満がおありでしたら、此方で面接終了とさせていただきますが、どうされますか?」
彼は淡々と、でも苛立ちを隠せない様子でそう告げてきた。
確かに面接である以上、主旨に合わない話ばかりもしてられないし、彼の提案が魅力的なのは間違いなかった。
「この結婚の主旨ってなんですか?」
彼はそう言うと、悩ましいような表情をした。
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