寄り道

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「柳沢さん。ランドセル持ってきたんだけど…おきてる?」 先生が心配そうに様子を伺っている。 「大丈夫です。」 俺はゆっくりとベットから降りた。 「先生さようなら。」 俺はそう言って保健室から出ていった。 学校から随分離れると走って公園に向かった。 元気がないとか、体調が悪いとかは全部嘘だ。 ただ学校に居たくなかっただけなのだ。 俺は公園に着いたが柊は居なかった。やはり、中学校は終わる時間が遅いのだろう。 俺は少し寂しさを覚えながら家に帰った。 家に着いたが柊が帰ってくるまでの時間は特に何もする事が無いので宿題と自習をしていた。 宿題をするがやっぱり英語が苦手で、英語は中学校からでいいんじゃないかと心の中で愚痴っていた。 気づけば6時を回っていたため俺は公園へと向かった。 公園に着くとブランコに柊が居た。 「柳沢じゃん!今日は遅かったな〜」 「宿題をしていたんだよ。」 そう言うと柊は驚いた顔をして 「お前っ…!勉強なんかすんの?!」 失礼な奴だなと思い 「お前こそ勉強して無さそうな顔してるぞ」 と、言い返した。 「俺は英語が出来れば良いんですぅ〜」 柊は得意げな顔をして言った。 俺はそんな柊の頭を叩いて、隣のブランコに座った。相変わらずキィキィと音が鳴る。 「柊は英語得意なのか?」 柊は今までに見たことないような笑顔で 「苦手。だけど世界一周の旅が夢なんだ。」 と言った。 俺はコミュニケーションをとるのが苦手だから海外に行くなんて想像も出来なかった。まず英語すら出来ないが。 「俺にはぜってー無理。」 そう言うと柊は大きな声で笑った。 「確かに柳沢は口下手だもんな!」 遠慮の無さにイラッと来たが否定できないのでなんとも言えない。 「でも世界一周か、いい夢だな。」 俺はブランコを漕ぎながら呟いた。俺は特に夢とかないから少し羨ましく感じた。 「少しくらい英語の練習付き合うよ。」 「Do you want ice cream?」 「は??」 急に英語が聞こえてきて驚いた。と言うより英語の意味も分からなかった。 「あ、アイスクリーム?」 俺はとりあえず分かる単語を復唱した。 「アハハハッ!!やっぱり柳沢に英語の練習任せられないわ!」 爆笑されたことに恥ずかしくなった俺は 「中学生になってないからだし…」 と意味のない言い訳をした。 「アイス、食いに行こーぜ。前に約束してたじゃん。」 俺はさっきの英語の意味が分かりむず痒い気持ちになった。
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