15人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
詩其の六 桜花の季節
サクラサク
坂道 下るよ
我先に
兵学校 卒業
オメデトウ
同期の 笑顔
ハチキレル
然したることは
無いだろうさ
先のことは 分からぬが
******
最近 戦況
やや曇り
詳細 知らぬが
召集だ
上官の伝令
鬼気迫る
爆撃命令
突き刺さる
── ああ いつかは こんな日が
故郷に 手紙 幾通か
***
明朝 出撃
其の夜に
優しき 女の
肌に触れ
語り 伝える
夜明けまで
******
敵艦 見えぬ
雲の上
早朝 見送り
かのおんな
感謝の気持ち
行ってまいります
然りとて
心に巡るのは
子供の頃の 思い出よ
***
雲の切れ間より
海上に航跡
敵艦隊 確認セリ
操縦捍は 前のめり
一気に倒し 急降下
海面すれすれ
飛ぶよ 飛び魚のごと
だが 一斉 砲火
花火のようだ
キリモミの後
海中に没す
胸の鮮血
見る間も無く・・・
サヨウナラ 父母妹・・
******
登り坂の途中
散りゆくサクラの
夕暮れに
かのおんなの 涙
頬を伝う
見送る辛さ 言えぬまま
最初のコメントを投稿しよう!