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タブレットが軽快にタッチされると、目鼻立ちのはっきりした美人が画面に写し出される。検索条件の一ノ瀬環は佑の姉の名前で、ネットでは人気急上昇のタレントだと紹介されていた。
ピロン、ピロン
タブレットを覗きこんでいた三人が、自分のスマホに目を向ける。
「げっ、また……」
うんざりした顔の一華に、一希が首を傾げる。
「なしたの?」
「昨日から口うるさく、今日の練習時間や場所を知らせてくるの。私は子どもじゃないんだから」
残りの目玉焼きを一気に口の中に放り込み、勢いよく噛み砕く様子は誰が見ても苛立っているのがわかるだろう。それに笑って返せるのは、性格なのか母親だからなのか間延びした声が掛かる。
「でも、一華ちゃんたら野辺山で迷子になったじゃない」
「うっ……あれは」
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