一 ハンドトゥハンド

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「手を……」  見れば明らかに気落ちした様子の佑がいて、一華の胸に深い罪悪感が芽生える。 「結城! ノート返すの、明日でいいか?」 「時間ないだろうから、いいよ。もう、ほら行くよ」  どうにでもなれと一華はずっと手持ち無沙汰になっていた佑の手を強引に握る。 「サンキュー。お礼にお菓子でも買っとくわ」  拝むようなポーズをした同級生に一華は手を振り、ここで話は終わったと思ったのだが横やりが入る。 「いえ、お菓子は結構です」 「ちょっと、何、勝手に断ってるの」 「理由ですか。理由は、その……」  勝手に断りを入れた佑を一華が睨みつければ、しどろもどろな返事しか戻ってこない。 「何よ、はっきりいいなさいよ」  繋いでいた手を引っ張って、一華は高い位置にあった佑の顔を引き寄せる。そうしてまっすぐに目をみつめれば、佑はゴクリと唾を飲んで意を決したように口を開く。 「理由は、あの、太ったら困る……からとか……です。そうです、上に乗られる僕の身になってください!」  はじめは遠慮していたようだが、最後は開き直ったように佑が堂々と発言をする。もちろん佑の言葉は、周りのざわめきを大きくさせた。 「上に乗るって?」
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