一 ハンドトゥハンド

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「結城があの高校生の上に乗るって……まぁ、パワフルだな。それを言っちゃうのも若いな」  ひそひそと話してはいるものの、目の前にいるのだからみんなの話は一華にも丸聞こえだ。 「いや、違う、違うからね。上に乗るっていうのは競技でだから。フィギュアスケートのペアを組んでるの、私たち」  慌てて一華が説明すれば、フィギュアスケートについて知っている友だちはなんとか納得してくれたようだが、生暖かい返事をして理解してくれていないだろう人もいた。 「パートナーとかカップルとか紛らわしい呼び方をしちゃうの。だから――」 「もう、行きませんか」  場を混乱させた張本人はマイペースなようで、なぜか機嫌良く一華を促してくる。突然の変化に戸惑いつつ、一華はまた気分を悪くさせても面倒だと佑に従うことにした。 「そういうことだから、練習に行くね。また明日」  練習という部分を強調させて伝えながら、一華は佑に引っ張られるように退場となる。 「もう、なんで迎えに来るかな。そんなに信用ならないの」 「……迷ったら困ると思って。一華さん、迷子になるでしょう」 「うっ……何で知ってるの。そんなに有名な話になってるの!」
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