一 ハンドトゥハンド

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 練習中に気を抜いたのが気に食わなかったのか、佑は眉間に皺を寄せながら一華に詰め寄ってくる。だが、一華は少しくらいいいだろうと一希を紹介しようとする。 「一華の弟だぞ」  佑のボールを使っての体幹トレーニングを手伝っていた桐生が、手持ちぶさたになったためか割り込んでくる。 「はじめまして。姉がお世話になってます」  休憩に入ったのか、佑が近付いてきて挨拶をする。佑と一希は同じくらいの背の高さだが、一希はアイスホッケーの選手ということもあって体に厚みがあり一回り程大きく見える。 「「同じ年か」」  小さな呟きが二つ重なり、それを聞いた一華は嬉しそうに何度も頷く。 「そうなの。二人とも高校一年生の十六歳。若いよねぇ」  桐生の方を見ながら同意を求めるように一華が笑う。 「俺からしたら一華も若いって」 「お母さんと同じこと言ってる。でも、桐生先生だって見た目は若いですよね。よく二十代に間違えられて喜んでいるの知っていますよ」 「見た目だけど、実際はおっさんだって言いたいのか」  若くみられることの多い桐生を、一華が嬉々としてからかって遊ぶ。桐生もそれに応じて笑っていて、楽しそうだ。
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