一 ハンドトゥハンド

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 十六歳で、今年の春に高校二年生となる佑は背が高く、百八十センチはあるだろう。体もしっかりしていて、ペアの経験もそれなりにあるので、カップルを組むには申し分ない相手だ。  体勢を変えて滑りながら観察しても、今のところ非の打ち所はない。スケート連盟が希望者を募って彼の相手を決めるトライアウトを行うのも頷ける。  トライアウトに参加したいと名乗りでた女子はそこそこいたと一華は聞いている。注目度から、花形がシングルなのは間違いない。けれど、それにも人数の制限がある。その少ない枠から外れたからといって、彼女たちが努力を怠った訳でも才能がない訳でもない。それでも、国際試合への出場はかなわないならばペアで目指すのはどうだろうかというのが今回参加の選手の心の内だろう。 「ねぇ、あれって結城一華(ゆうきいちか)さんだよね。なんでおばさんも来てるの?」 「もう二十歳くらいだよね。条件から外れてるのに何しに来たんだろう。佑くん目当て? うへぇ、気持ち悪い」
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