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そんなある日役者の一人が喉を痛め、どうしても歌えないという事態が起きた。
主催者は頭を抱えたが、セイラーを見て、あるアイデアを思い付いた。
「そうだな、セイラーの歌だけを登場させてみるか。」
そうしてセイラーは、劇中で歌だけを歌うことになった。
舞台で役として演じることは出来なくとも、音楽に合わせて歌うことは出来る。
セイラーは、役割を与えられたことがとにかく嬉しかった。
セイラーは舞台袖で音楽に合わせて歌う。
それに合わせて役者が演技をする。
この方法は見事に成功した。
主催者はこの方法をいたく気に入り、以後セイラーは、舞台袖から歌を歌うという役割が与えられた。
それは効果的に用いられ、回想シーンや暗転中など、声の存在感が必要な場面で用いられた。
サーカスな時と同じように、セイラーの歌は大切な役割を果たすことになった。
そしてまた5年の月日が流れた。
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