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セイラーは幸運なことに、男の子にしては透き通る声を持っており、歌の飲み込みも早かった。
毎日母に朝と夕方、歌を教えてもらい、ひとりでいる間は歌を口ずさみながら過ごし、やがてセイラーは10歳になった。
相変わらず家の外には出れなかったが、家にいる間はほとんどを歌って過ごしていた。
そのうちに、セイラーの家から聞こえる歌声は、村の人々の楽しみにもなってきた。
畑からの帰り道、人々はセイラーの家の前で少し休憩し、セイラーの歌を聞きながら談笑し、家路に着くのが通例となっていた。
その頃、村の近くにとあるサーカス団がやって来た。
ある日、団員の一人がたまたま村の近くを通り掛かった際に、セイラーの歌声を聴いた。
「やや、なんと耳心地の良い歌声。」
団員はその事を早速サーカスの団長に伝えた。
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