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その話を聞いた団長は、セイラーの家を訪問し、歌を聴かせてもらった。
なるほど、団員の言うことは大袈裟ではなかった。
団長は、セイラーの歌声がサーカステントに響きわたる光景を想像した。
団長はその日のうちにセイラーの母に相談を持ち掛けた。
「お母さま、ちと相談ですが、息子さんを私に預けてみませんかね?サーカスの歌い手として全国各地を廻らせてみたいのですが。もちろん息子さんの生活のケアもちゃんと行いますし、給金も払います。」
セイラーの母は驚いたが、この申し出を承諾することにした。
息子に歌の才能があるかもしれないとは思いながらも、歌手になれるわけもなく、かといって仕事も出来ない将来を憂いでいたからであった。
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