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セイラーとサーカスと
セイラーは家からほとんど外に出ることがなかったので、馬車に揺られて移動する間、寂しさもどこへやら、ずっと感動していた。
これまでとは違う音や匂い、風や雨、全てが新鮮だった。
馬車の中では沢山の人の声がするが、セイラーには誰も見えない。
時折団長が声をかけ、食料や飲み物を与えてくれた。
そうして馬車の中で何度か夜を過ごしたあと、サーカス団はある地方にテントを建てた。
セイラーは、団長に座っていろと言われた場所でずっと待っていた。
人が行ったり来たりしている音がする。
そのうちに、これまで聞いたことがない動物の泣き声や、不思議な音楽が聞こえてきた。
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