セイラーと結婚と

1/5
前へ
/64ページ
次へ

セイラーと結婚と

 アリーチェの両親は、その場で二人の結婚を承諾してくれた。  さらにその足でセイラーの自宅へ向かい、セイラーの母に会うことになった。 「私はこの隣村に住んでいたことがあるんです。」  アリーチェの母は話し始めた。 「私の母はアリーチェがまだ幼い頃に亡くなりました。」  そしてセイラーの歌に救われたことを話した。  セイラーの母は、この頃には長年の労苦で足腰が弱り、畑仕事もやめて、あまり遠出も出来なくなっていた。 「この子の目が見えないことで私も自分を責めました。ましてや父親もいなくなってしまった。この子同様に、私にも歌しかなかったのです。」  セイラーの母はそう話した。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加