セイラーとサーカスと

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 やがてテントの設営は終わった。  「セイラーだな。立ち上がれるか?」  ふいに話しかけられ、声がした方向にセイラーは立ち上がった。 「オレはロメロ。お前10歳だってな。オレはお前の二つ上だ。団長から面倒見るように言われたんだ。よろしくな。」  セイラーは声の聞こえる位置から、ほぼ同じくらいの背の高さだと思った。 「お前、歌を歌うんだってな。オレは踊るんだよ。見てな。」  ロメロはそう言うと、ステップを踏んでその場で軽く踊るとポーズを決めた。 「あ、見えないんだよな。ごめん。」  ロメロはうっかりしたことを本当に申し訳ないように謝った。
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