セイラーとサーカスと

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 セイラーは気にしないでと言うと、右手を差し出した。  ロメロはその手をしっかりと握り返した。  それからは生活の全てをロメロと過ごした。  団員用のテントもロメロと同じテントだった。  見えないことは全てロメロが教えてくれた。  ここには何十人もの団員がいて、ショーのための動物も飼われていること。  サーカスで使う様々な道具のことなど色々教えてくれた。  セイラーは、それらを想像の中で創り上げて楽しんだ。  ふたりでショーの練習もした。  ふたりの役割はサーカスの転換時に場を繋ぎながら、雰囲気を作ることだった。  セイラーがオペラを歌い、ロメロが踊る。  
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