第五章 魔王

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第三話 【王国】【神聖国】  俺は、大魔王様の眷属に従う部下の手下に負けた魔王だ。  これでも、20階層を誇るダンジョンを作っていた。罠も地球に居た時の知識を使って、あくどい罠を設置していたのだが、簡単に突破されてしまった。俺の眷属たちは、殺されなかった。眷属であることを戦闘中に聞かれて、眷属だと答えたら、無力化されるだけで終わった。  俺は、大魔王様に屈する選択をした。  間違っていなかった。あの時に、変なプライドを捨てたのは正しかった。このまま戦い続けるか、屈するか聞かれて、被せ気味に屈する選択を選んだ。眷属が殺されてしまう事を恐れた。ポイントを使えば、復活するのは解っていたのだが、それでも死んでほしくなかった。眷属は、俺の新しい家族だ。  無事に、眷属たちと再会した時には、泣いてしまった。  眷属は、今までは意思の疎通が難しかったが、大魔王様に屈した時に、ルブランから眷属たちはスキルを貰った。  そして、言葉に寄るコミュニケーションが取れるようになった。  報告会の様子は、筆頭眷属は会議に連れて行けたので知っているが、他の者とも共有しておいた方が良いだろう。これからの運営にも影響してくる。  俺の眷属は、獣だ。  筆頭眷属は、最初にポイントをつぎ込んだフェンリルだ。ルブランに望んで、人化のスキルを得ている。  俺の横で、女性になったフェンが、眷属たちに説明をしている。  俺が、皆に伝えておきたかったのが、神聖国と王国とエルプレ(連合国)の末路だ。しっかりと認識を共有しておいて、大魔王様に逆らうような態度は取らないようにしてもらおうと考えている。フェンからは、無用な心配だと言われたが、それでも心配になってしまう。 「まずは、簡単に説明ができる王国から行う」  フェンが、王国の現状がどうなっているのか説明を始めた。  王国は、魔王ギルバードが間接支配することに決まった。  内部で押し付け合いになったのだが、大魔王様から名指しで、魔王ギルバードが治めるように命令が下った。  王国周辺にあったダンジョンは、魔王ギルバードに従うことになった。  大魔王様は、各ダンジョンに”ギミックハウス”の制作を命じられた。そこで得られるポイントが魔王たちの取り分となる。”ギミックハウス”のいくつかのルールは決められているのだが、逸脱しないようにすれば、罰則はないと言われている。  王国は、王国内部に存在していた魔王を討伐していた。  周辺に残されたダンジョンは、見つかっていなかったか、資源が取れる鉱山の代わりに残されていただけだ。  王国は、国としては残っているのだが、王族や血族は殺されている。  大魔王様に屈した魔王たちが復讐の為に動いたのだ。眷属を殺された魔王も少なくなく、矛先は王国の軍に向かった。そのうえで、王族を始末した。それによって、王国はこれから荒れるだろうことが予測されるが、王国の王族や貴族が招いた結果だ。  避難民は、特権を求めたり、権力を振りかざしたり、自らの立場が解らない者は追い出してよいと言われている。  各ダンジョンには、”ギミックハウス”と同時に要塞村の建築を命じられている。100名から大きい場所では1,000名程度の者たちが生活できる場所を作るように言われている。  王国は、王族が倒れたことで、野心を持った貴族たちが覇権を争うようになった。  幸いなことに、王国の周辺では魔王がダンジョンを作っている。その為に、”ギミックハウス”で王国が囲まれているような感じになっている。  フェンが、王国の現状を説明した。  眷属からは質問が出たので、フェンが答えている。フェンでは解らない部分は、俺がルブランに聞くことになっている。幸いなことに、ルブランに聞かなければならないような質問は来なかった。 「次に、説明は難しいが神聖国の現状を説明する」  先に、連合国のエルプレを説明するかと思ったのだが、神聖国の説明を行うようだ。  神聖国は、魔王が支配する国だったようだ。  そして、やり方が大魔王様の逆鱗に触れていたようだ。  神聖国の教皇・・・。魔王は、生かされている。  実際にダンジョンは攻略されているのだが、コアの破壊も魔王の殺害も行われていない。  神聖国は、入口と1階層だけのダンジョンが残されている。大魔王様の眷属が、何度も何度も攻略を試みた。神聖国の魔王は、ダンジョン内に眷属と呼べるような魔物を配置していなかった。それだけではなく、側近になるような眷属も作っていなかった。  神聖国は政教一体になっている。”神”に認められた者たちが、国を治め大陸を支配するのが当然だと言っていた。その為に、眷属が使えなかったと考えるべきだろう。  そして、攻略を繰り返す事で、ダンジョンが縮小していった。  1階層と言っても、コアルームともう一つの部屋があるだけのダンジョンになってしまっている。  コアルームの前には、ボス部屋が設置出来るのだが、配置できる魔物を呼び出すポイントが無くなってしまっている。これも、攻略を繰り返したことにより、魔物を呼び出すことが出来なくなっている。  最終的には、大魔王様は、神聖国の教皇が居るダンジョンの周りに、スライムがポップする場所を作って、ダンジョンの中に流れ込むように仕向けている。1時間で数百匹のスライムがポップして、神聖国の魔王が治めるダンジョンになだれ込む。  倒しても、スライムは1匹倒しても1ポイントにしかならない。これは、ルブランからの説明だ。それでも、一日約2400ポイントが神聖国の魔王に渡ることになる。10日も稼働すれば2万4千ポイントだ。  なので、力試しとして、10日経過したら魔王カミドネが保護している獣人族が順番に討伐を行うような体制になっている。  2万ポイントは多いように見えるが、フェンの召喚に利用したポイントは20万だ。100日間もスライムを倒し続けなければならないそれでも、進化前で、スキルを得る前のフェンと同等だ。そのうえ、防具も無ければ武器を与えて、スキルを付与しようとしたら、コストは天井知らずだ。  スライムを倒し続けなければならない。  寝る事も食事の時間も与えない。戦い続ける必要がある。そして、ある程度のポイントが溜まったところで、獣人族が搾取する。永遠に繰り返す。獣人族がやらなくなれば、魔王が持ち回りで行うことになる。  スライムを使った自殺は見逃すように指示が出ている。神聖国の魔王は、生き続けるためには、スライムを倒し続けなければならない。  大魔王様からは、獣人族が虐げられていた期間と同じだけ、神聖国の魔王を苦しめるように命令が出されている。  王国と同じように、フェンの説明が終わってから、質問を受ける事になった。  神聖国では、質問というよりも”お願い”が眷属から出された。  討伐ではなく、”神聖国のダンジョン攻略を行いたい”という声が上がった。俺には判断ができない事柄なので、ルブランに質問を投げた。  回答はすぐに来た。  フェンに回答を見せてから、皆に説明させた。  俺の想像とは少しだけ違っていたが、俺の眷属の参加は認められたのだが、無条件ではなかった。  大魔王様の眷属が作って、配下の者たちが、設定を弄った”ギミックハウス”の攻略が条件になった。戦闘訓練だけではなく、現場での判断能力を確かめたいようだ。  眷属たちは、やる気になっているので、俺も許可を出した。  俺が出した条件は”死ぬな”だけだ。他のダンジョンで死んでしまうと、復活に必要なコストが跳ね上がるだけではなく、蘇生に失敗する可能性が出てきてしまう。その為に、”死なない”ことを条件に追加した。  眷属たちも、自分たちと似た種族である獣人族には親近感があり、その獣人族を虐げていた理由が、神聖国だと知って憤慨していた。  その為にも、復讐の一つとして神聖国の魔王を痛めつける行為に参加したいようだ
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