クッキーは秘密の味

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クッキーは秘密の味

 「あのっ、せんせーこれ、授業でつくり過ぎてさぁ、俺もう食べれないからあげる!」 「お、おー、ありがとうな。クッキー?」 「うん。スノーボールクッキーだって!めっちゃ粉落ちるから気をつけてね。」 「はいはい、じゃあ今日のおやつにするわ。ありがとな」 「じゃーね!」  ・・・ふー・・・・・・。あー、かわいいなぁ。いや、やばいだろ、上目遣いでクッキー差し出すとか、はー、かわいい。仕事頑張ろ。 クッキーを見ながらさっきの生徒、森野のことを考えていると隣の席の同僚に話しかけられる。 「それ生徒にもらったんですか?いやー、島崎先生は相変わらず生徒に好かれてますねー。」 「いやいや、そんなことないですよ。なんか作り過ぎたとか言ってましたよ?」 「えー、そんなわけないですよ。だって生徒本人の食べる分しか作らないはずですし、他の子らは自分で食べてましたよ?まぁ、でもアレですね、調理実習で作ったものをあげるとか青春ですねー、ボクも憧れたもんですよー、かわいい同級生とかが・・・・・・」  同僚の言葉に適当に相槌をうちながら考える。 え?もしや、脈あり?まぁ、この関係の間はアレだが、あいつももう卒業だし…ありか?ありだろ?あー、やばい!ちょっとあとで確かめよ。  夕方、帰っていく森野をさも通りすがりにたまたま見つけたから声かけた風に呼び止める。 「おー、森野。クッキーおいしかったよ。ありがとな。」 「え、あぁ、よかったです!っても、先生に言われた通りに作っただけだけど。」 「そうかもしれないけど、美味しかったよ。けど、ちゃんと自分で作ったのは自分で食べろよ?それとも甘いものが苦手なのか?」 森野が俯いた。耳が赤い。かわいい。大方、俺があのクッキーは余りものではないということに気づいたことを知って照れてるんだろう。かわいいなぁ。 「あの、島崎せんせー、その、、、オレ、」 お?なんだ?覚悟決めた顔してるぞ、告白か? 確かに周りに誰もいないが、って、これはあれか、壁ドンってやつか。え? 「せんせーが、先生のくせに生徒(オレ)のこと好きなの、知ってるよ?今も、オレがここを通るの待ってたでしょ?バレバレ。かわいいね。でも、オレが卒業するまで待っててよ、ね?せんせー♡」 「っ・・・・・!」 「じゃあ、せんせー、ばいばーい。」 森野は、呆然とする俺の口に触れるだけのキスをして去って行った。は?え?ん?お?なに?ぇ?ぁ、でも・・・・・やっぱ、好きだ。  俺は両手で顔を覆って廊下にうずくまった。
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