第二章 変貌

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      5  あいつが死んだ、あいつが死んだ!  あいつが殺された、誰かが殺してくれた!  これで何もきにすることはない。  これで彼も、きっと元に戻る。  私にも、『普通』が戻ってくる。  きっとお姉ちゃんにも、『普通』が戻ってくる。 『不安』は消える、消えた!  やった、やった!  安心して、毎日を普通に過ごせる!  普通に過ごせる。  気がつくと、玄関で、チャイムが鳴っている。 「はーい」  スキップでもしたい気分だった。  玄関に向かって、走り出す。  ドアを開けて、凍りついた。 「西崎さんですか?」  男が訊いてきた。  こいつも死ねばいい。  殺されてしまえばいい。
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