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「え? ええ。五年前に、切り替わっています。ただ、実質的には、捜査はもう打ち切り状態です」
「継続捜査班の、何とかって言う班長、お前の知り合いやろ?」
「ええ、竹下警部補でしょう? 聞いてみましょうか? 捜査の進捗状況」
「一応聞いてみてくれ」
千葉は頷き、「電話借ります」と言った。
「一番後ろに置いてある」
弓村が言った。千葉が頷いて、歩き出す。
内海刑事が戻ってきた。
「石山刑事は?」
弓村が訊く。
「え? 戻っていませんか?」
内海の言葉に、弓村の表情が険しくなった。なんとなく、何か漠然とした不安に襲われたのである。
「どうゆうことや?」
「捜査の後、沢村さんの御家族の方に会いに行くと・・・・・・」
「なんで別れた?」
「石山さんが、どうしても一人で行きたいとおっしゃられるので・・・・・・」
「鳴海、沢村刑事の実家へ連絡して、石山刑事が来てるか調べろ」
昨日の今日である。念には念を入れておくべきだろう。二日続けて刑事が殺されるという異常事態は、なんとしても避けたかった。
「警部、来てらっしゃらないそうです」
受話器を持ったまま、鳴海さくらが言った。
「北原、指令センターに連絡して、各警邏車両に警戒するよう伝えろ。特に白の軽自動車に注意するよう指示しろ」
「分かりました」
北原は言い、近くにある電話の受話器を取る。
「西峯、出られる警官全員を、石山刑事の捜索に当たらせろ」
「手の空いてる警官全員ですか?」
「そうや」
「署長が、許可するでしょうか?」
「知るか!」
弓村は大きな声で怒鳴った。「出られる者は全員、石山刑事の足取りを追え。死体は見つけんな、行け!」
弓村は、自ら捜査本部を飛び出していった。
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