第二章 変貌

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      8  雨が降り出した。  規則正しい雨音で、わたしは、だんだん落ち着きを取り戻しつつある。  ・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・  ・・・・・・どうして?  窓の外を見る。  暗い。  見えるのは、ガラスをたたく雨粒と、涙のような水滴と、そして、私の顔。  ・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・  チャイムが鳴った。  これで、今週二度目。  不承不承、わたしは玄関へ向かう。 「どちら様ですか?」  わたしは、ドアを小さく開いて、言った。 「京都府警の弓村と言います」  中年の男が、警察手帳を見せながら言った。「今日の夕方、六条署の石山と言う刑事が、訪ねてきませんでしたか?」 「・・・・・・はい」 「何時頃ですか?」 「覚えていません」 「いつ頃、帰りました?」 「・・・・・・すぐです」 「すぐ? 来てすぐですか?」 「はい」 「用件は言いました?」 「・・・・・・姉に、用があると」 「お姉さんは、いらっしゃいますか?」 「・・・・・・いません」 「では帰宅されたら、六条署のほうへ連絡してください」 「・・・・・・分かりました」 「お願いします」  男は言い、踵を返した。  わたしはドアを閉める。  ・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・一体、どうするの・・・・・・?
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