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二人は、いつも別れる交差点についた。
祐介の一日は、友達と別れる、この場所で終わる。
「じゃあ、また、明日」
祐介が言った。美紀も、いつも通りの笑顔で、大きく頷く。
「じゃ、バイバイー」
二人は手を振って、別々の方向へ、自転車を漕ぎだした。
寂しいとは思わない。明日、また会うために、別れるのだ。いつも一緒では、幸せが、幸せに感じられなくなってしまう。毎日、決まった時間だけしか会えないから、それを幸せだと感じるのである。
祐介は、一瞬、振り返った。
美紀の後姿が、街灯に照らされていた。
夜の訪れと共に、住宅街に、次々と明かりが灯る。
しかし、それら全てが、幸せの明かりだとは限らないのである・・・・・・
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