14人が本棚に入れています
本棚に追加
4
お姉ちゃんは、いつも、黙っていた。
ほとんど、何も言わなかった。
食事は、いつも静かだった。
お姉ちゃんは、「おいしい」とも、「不味い」とも言わずに、わたしが作った夕食を、黙々と食べる。
「おいしい?」
わたしが問うと、お姉ちゃんは、小さく頷く。
頷くだけで、まったく、何も話さない。
なぜ、話さないのか、わたしには分かっている。
話さない理由も、分かっている。
怖いのだ。
家の中で話すのが、怖いのだ。
また、あの男に怒鳴られると思い込んでいるのだ。
もう、いないよ、あの人は・・・・・・
何度、そう言っても、お姉ちゃんは理解しなかった。
わたしは、もう寝ることにする。
お姉ちゃんとは話すこともないし、第一、話したがらない。
わたしは、布団の中に潜り込む。
明日もまた、友達に会える。
そして、誰より、彼に会える。
最初のコメントを投稿しよう!