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血がある程度止まったのを確認してから、あたしたちはベンチから立ち上がった。
普通なら、ここから歩いて1時間くらいで隣町にたどりつく。
だけど今はどのくらい時間がかかるか検討もつかなかった。
「大丈夫か?」
「うん」
純也に気遣われながら歩き出した、そのときだった。
公園に向かって走ってくる人影が見えて、あたしたちは立ち止まっていた。
その人は同じ制服を着ていて、何かから逃げているように見えたからだ。
純也がスマホの明かりでそちらを照らす。
走っているのが女性であることがわかった。
同じクラスの子で、ハッと息を飲む。
その子の後ろには10数人の殺人鬼たちが追いかけてくるのだ。
「まずい、走るぞ!」
純也が叫んだその時だった。
女子生徒が足を絡ませて転倒したのだ。
殺人鬼たちが一斉に追いつき、彼女に襲い掛かる。
「嘘つき!!」
殺人鬼に襲われながら、彼女が叫んだ。
その声は夜の闇を切り裂いて、あたしたちに届く。
え……?
「アザを切り取っても意味なんてないじゃん!」
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