放送室

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「もうこの町から出るしかないと思う。隣町まで逃げることができれば、安全だと思う」 「この町から……」 学校から出ることだって難しいのに、そんなことができるんだろうか? あたしは窓の外で倒れている人々に視線を向ける。 きっと学校から出て外の様子を目の当たりにすると、もっとひどい惨劇が待っているのだろう。 想像するだけで背筋が寒くなった。 両親は生きているんだろうか……。 そう考えて気弱になってしまいそうになる。 「俺がついてるから、絶対に大丈夫だから」 純也があたしの手を痛いほどに握り締める。 いつの場面でもあたしの前に立ちはだかって守ってくれた純也。 ここまで来てあきらめるなんて嫌だった。 あたしは大きくうなづいた。 「うん。わかった」 今は自分たちを信じてやるしかないんだ。 「よし、じゃあ行こう」 そう言って純也が窓から離れたときだった。 廊下の中央あたりに女子生徒が立っていてあたしたちは悲鳴を上げてしまいそうになった。 いつの間にそんなところに立っていたのか、気配は全くしなかった。
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