放送室

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「雪!」 声をかけると雪はこちらへ視線を向けて「遥?」と、声をかけてきた。 よかった、いつもの雪に戻ってる! 泣いてしまいそうになるのをグッと我慢して、雪の体を起こした。 廊下でモタモタしていたら、いつ他の殺人鬼に遭遇するかわからない。 純也が雪の体を支えて、あたしは近くの教室のドアを開けた。 幸い、死体は転がっているが中には誰もいない。 「あたし、どうしてこんなことに……」 雪は混乱して教室の中をみまわす。 あたしは椅子を移動させ、そこに雪を座らせた。 「大丈夫だよ、なにも思い出さなくてもいいから」 「でも……」 思い出せば自分がつらくなるだけだ。 もしも、雪がすでに誰かを殺してしまっていたとしたら、それこそ抱えきれないかもしれない。 「それより、ちゃんと止血しないとね」 あたしはあえて明るい声で言い、この教室の救急箱を持ってきた。 各教室に常備されている救急箱がこれほど役立つとは思ってもいなかった。 雪は脱脂綿を自分の耳に押し当てて痛みを我慢している。 「雪、これ痛み止め」 「ありがとう」
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