放送室

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雪は薬を水なしで飲み込んだ。 こんな状況だから、贅沢は言っていられない。 しかし、止血している雪の顔色はどんどん悪くなっていく。 もともと色白な雪だけど、今は真っ青だと言っても過言ではなかった。 「大丈夫? ちょっと横になる?」 声をかけるが、雪は左右に首を振った。 「思い出したの。自分がやったこと」 小さな声でそういわれ、あたしは言葉を失った。 やっぱり雪も誰かを殺してしまったんだろうか。 自分の意思とは関係なく、操られて無理やりに。 「それは雪のせいじゃない」 強い声で言ったのは純也だった。 純也がジッと雪を見つめている。 「でも、あたし、確かにこの手で……!」 「そうだとしても、それは雪のせいじゃない」 そんな言葉気休めにしかならないかもしれない。 実際に殺人を犯してしまった人間のつらさなんて、きっとあたしたちには理解できないから。 でも、雪は大きく息を吐き出して、少しだけ頬を緩めた。 「そうだね……。香は?」 ふと思い出したように雪が言う。 あたしは左右に首を振った。
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