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「見てないの。雪は一緒じゃなかったの?」
「ううん。1階の教室で襲われそうになったとき、香がおとりになって逃げてくれたの」
あの時、どうにか立ち上がった雪は香に支えられながら中庭へと逃げたらしい。
その場に座り込んでまた動けなくなってしまっている間に、香が教室のドアから廊下へと逃げだした。
殺人鬼たちはそれを追いかけて行ったのだという。
それから自力で中庭から逃げ出した雪はトイレにこもっていたらしい。
しかし、気がつけば2階にいて、あたしたちを襲おうとしていたということだった。
「香とも合流したほうがいいよね?」
あたしは純也へ向けてそう聞いた。
純也は難しい表情を浮かべている。
こうして雪とまた会えたのは奇跡みたいなものだ。
香と出会えるかどうかなんてわからない。
それはわかっていたけれど、このまま放置して行くのは嫌だった。
「ちょっと、連絡だけしてみる」
あたしは早口にそう言って窓辺へと近づき、スマホを出した。
今日はほとんど使っていないから、充電は十分に残っていた。
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