悲鳴

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何度やってもその感触はなれることがなかった。 手に伝わってくる肉が切り裂かれる感覚に吐き気がこみ上げてくる。 それでもどうにか切り取って、男子生徒の目を確認した。 彼の目はスッと元の色に戻る。 しかし、それはすでに光をなくした目だ。 せっかく元に戻ってもなにも移すことはない。 胸の痛みを感じながらそっとまぶたを閉じてあげて、あたしはまた歩き出したのだった。 ☆☆☆ 1階の廊下に差し掛かったとき、さっき電話で聞いた笑い声が聞こえてきて足を止めた。 こんな状況で一体誰が笑っているんだろう? 今まで出会ってきた殺人鬼は笑い声なんて上げていなかったから、これは普通の人間で間違いなさそうだった。 それにしては異質な笑い方。 まるで心が壊れてしまっているような笑い方だと感じた。 「あははははははははは!」 途切れることなく聞こえてくる声に恐怖心を抱きながらも、あたしは一歩一歩その声に近づいていく。 電話から聞こえてきた声と同じだということは、そこに香もいるかもしれないということだ。 「あははははははは! あははははははは!」
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