57人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
声はどんどん近くなっていく。
それは最初にあたしたち4人が逃げ込んだ教室内から聞こえてきていた。
あたしは閉じられたドアの前で一度立ち止まり、モップを握りなおした。
窓が割られているため、そこから中をのぞきこむ。
その瞬間、教室の中央で笑い転げている女子生徒の姿が見えた。
髪を振り乱し、手には血のついた包丁が握り締められている。
一見誰だかわからなかったけれど、それは香で間違いなさそうだった。
あたしはハッと息を飲んでドアから教室へと飛び込んだ。
「香!?」
声をかけた瞬間、足を止めていた。
教室内には複数の生徒が横倒しになり、血を流しているのだ。
香はその真ん中で笑い続けている。
「香、これってどういうこと?」
あたしが声をかけても反応しない。
すっかりおかしくなってしまっているのかもしれない。
あたしは倒れている生徒の1人を確認した。
耳にアザがある。
他の生徒も大半が殺人鬼だったみたいだけれど、中にはアザのない生徒も混ざっているのがわかった。
あたしは愕然として香を見つめた。
まさか、香が1人で全員を……?
最初のコメントを投稿しよう!