悲鳴

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「どうして? だって、相手はあたしたちを攻撃してくるんだよ?」 「放送を聞いてなかったの? 殺人鬼に感染された生徒は、アザを切り取れば元に戻るの。殺す必要なんてない!」 思わず声が荒くなった。 香は真面目な表情になり、あたしに背を向けた。 一瞬逃げられるかと思ったが、香はただあたしに背中を見せただけだった。 その背中は制服が大きく切り裂かれ、黒く変色した傷口が開いていた。 あたしは絶句し、後ずさりをする。 「そ、それ……」 どうにか言葉を搾り出すも、ほとんどなにも言えない状態だった。 香は無言でこちらに体を向けた。 その目はあたしを恨んでいるかのように、睨みつけてくる。 香がどれだけ恐ろしい目に遭ったのか、あたしには想像もできていなかったのだ。 刃物を持って襲ってくる殺人鬼からたった1人で逃げた。 そして香はおかしくなってしまったのだ。 「あんたはいいよね。純也に守られて」 香が一歩近づいてきた。 しかし手に持った包丁の先はあたしへ向けられている。 あたしは後ずさりをする。
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