悲鳴

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香は純也を押しのけて雪の体を抱きしめた。 「香……」 雪はそう言ったきり絶句する。 香の手に握られた包丁と、教室の惨状を見て言葉を失ってしまったのだ。 「雪、大丈夫?」 あたしは自分の包丁をケースに戻しながら、声をかけた。 「うん。ちょっと貧血だけど」 そう答える雪の耳からはまだ血が流れている。 「どれだけ止血しても、血が止まらないんだよ」 純也が不安そうな表情を雪へ向けている。 雪にはちゃんとした処置が必要そうだ。 だけど、この町でそれができるとは思えなかった。 「とにかく4人全員そろったんだから、外へ出てみようよ」 「そうだな。この町から出ればきっとなにかが変わるはずだ」 純也はうなづき、あたしたち4人は昇降口へと向かって歩き出しだの立った。 ☆☆☆ 昇降口にいた柔道部の生徒たちはいつの間にか姿が見えなくなっていた。 その代わり死体の数も増えている。 外はすでに真っ暗で、あたしたちはスマホの明かりを頼りに歩き出した。 シューズのままで外へ出た時、足元がぬるりとした感触に包まれた。
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