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照らしてみるとそこには血だまりができている。
「冗談だろ……」
窓の内側からでは見えなかった光景がそこに広がっていた。
コンクリートに倒れる無数の生徒たち。
中には警察官や先生の姿も混ざっている。
それは昇降口から校門へ向けて際限なく続いているのだ。
死体を踏みつけて歩かないと先へ進めない状態だ。
「こんなのひどいよ」
見ていられなくて顔をそらす。
自然の涙が滲んで溢れ出てきた。
死んでいる生徒の中には知っている子も沢山いて、みんな逃げている途中で襲われたり、殺人鬼に感染してしまったのだということがわかった。
「これ全部アザを切り取るなんて無理だな」
純也が呟く。
アザを切り取ることは不可能。
それならもう、あたしたちには逃げる以外に道は残されていないことになる。
あたしは勇気を出して足を進めた。
歩くたびに死体を踏みつけてしまう。
体のバランスを崩して、死体の山に突っ込んでしまいそうにもなる。
校門にたどり着くまでにかなりの時間がかかりそうだった。
それでも一歩一歩進んでいく。
みんなの未来のためにも……。
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