悲鳴

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仮に、感染した雪に出会ったのが香だったら? そして、感染を戻す方法を知っていたら? たしかに、あたしたちと同じことをしていたかもしれない。 「でも、香は雪を傷つけないかもしれない」 あたしはポツリと呟いた。 雪が感染していても、香は雪を傷つけず一緒にいたかもしれない。 たとえ自分が殺されてもいいと思ったかもしれない。 それはもう、わからないことだけど。 「香はいつから雪のことが好きだったんだ?」 話題を替えるように純也が聞いてきた。 「たぶん、入学してすぐだと思うよ?」 あたしは教室内での出来事を思い出していた。 入学して2日目くらいだっただろうか。 席が前と後ろだったあたしと香がまず仲良くなった。 休憩時間中2人で他愛のない会話をしているところに雪がやってきたのだ。 『ねぇ、その話あたしも混ぜてくれない?』 それは凛とした声だった。 声がしたほうへ視線を向けると、色白で綺麗な女の子が立っていた。 『いいよ』 あたしはすぐにうなづいて雪を輪の中に入れた。
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