悲鳴

5/32

57人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「それって誰?」 質問したのは雪だった。 雪は好奇心で目を輝かせている。 「秘密」 香からの返事に雪は唇を尖らせた。 「なにそれ、つまんない~!」 「じゃあ雪の好きな人教えてよ」 「え、それはちょっと……」 「じゃあ、あたしの好きな人だって教えられないなぁ」 「えぇー!?」 2人のやりとりを笑いながら見ていたときだった。 突然廊下が騒がしくなったと思った次の瞬間、女子生徒の大きな悲鳴が聞こえてきたのだ。 すべてのおしゃべりが中断され、教室内は水をうったような静けさに包まれた。 ドアの近くにいた男子がはじかれたように廊下へ出たことで、みんなが一斉に動き出した。 悲鳴が聞こえてきた廊下へとかけでる。 見ると女子生徒の前で真っ青になった女の子が座り込んでいるのが見えた。 その子は必死にトイレを指差して、声にならない声で口をパクパクさせている。 「どうしたの!?」 見知った顔であったこともあり、あたしはその子の横に駆け寄った。 後ろから雪と香もついてくる。 女の子はトイレを指差した状態で「あ……あれ」とか細く言った。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加