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「もう片方の耳!? なんでそんなことになるの!?」
「俺たち、間違ってたんだ……」
「え?」
「俺の両親はアザが切り取られていたなんて言ってなかった。殺人鬼になった生徒たちは耳たぶを切られていたんだ。そう言ったんだ」
そんな……!
アザは両耳に出現する。
1つ切り落としても、もう片方に出現する。
そんな、バカなことって……!
転がっている死体に足をとられて激しく転倒した。
純也が立ち止まり、手を差し出してくる。
それを握り締める前にあたしの足は誰かに掴まれていた。
「ひぃ!」
悲鳴を上げて振り向くと、灰色の目をした雪と視線がぶつかった。
左耳には星型のアザが見えた。
「雪……」
呟いた次の瞬間あたしの体は勢いよく引きずられ、感染者の中へと吸い込まれた。
純也が最後まであたしの名前を叫んでいる声だけが、いつまでも聞こえてきていたのだった。
END
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