悲鳴

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先生の叫びに、ロッカーの付近にいた生徒がすぐに動いた。 掃除道具入れを中を確認し、荷物紐を持ってきた。 学校行事で使用した新聞を束ねるために買ってきておいたものだ。 それがこんなときに役立つなんて思ってもいなかった。 先生と生徒は協力して幸子の体を拘束していく。 その間にも幸子は暴れ、雄たけびのような声をあげる。 その表情は苦痛にゆがんでいて思わず視線をそらした。 仕方のない拘束だとわかっているけれど、クラスメートが無理やり縛られるのはつらかった。 それにしても、理恵も幸子も突然どうしたんだろう。 急に人が変わったみたいに攻撃的になって、生徒たちと切り付け始めてしまった。 トイレで倒れていた子は首を切られていたし、もしかしたらそのまま死んでしまったかもしれないのだ。 そう考えて体が寒くなるのを感じた。 同級生が同級生を殺すなんてこと、ありえないと思っていた。 時々ニュースで似たような事件を聞いても、自分には関係のない世界の話だと思っていた。 でも、そんなことが現実で起こるなんて……。 「まずい!!」
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