悲鳴

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雪は少し泣いたようで、目が赤くなっていた。 「わからない……」 あたしは力なく左右に首を振った。 幸子の灰色の目を思い出して強く身震いをする。 あの目に見つめられたとき、体中が凍り付いてしまったようだった。 恐怖で全く動けなかったし、純也がいなかったらあたしは今頃……。 そう考えて大きく息を吐き出した。 「あの目、悪意しかなかった。しかもそれを楽しんでいるようにも見えた」 あたしは灰色の目に感じたままを口にした。 雪が眉を寄せて「楽しむ?」と、聞き返してきた。 「うん。わからないけど、そんな気がしたんだよね」 だけど幸子自身が望んで動いているようには見えなかった。 まるで何者かに操られているような……。 そこまで考えて、ふいに噂話を思い出した。 昔この町で起こった殺人事件の話。 犯人は当時16歳で、16歳になる子に乗り移って殺人を再開する。 そんなこと、あるはずない! あたしはすぐに左右に首を振って自分を考えをかき消した。 あんな噂を聞いたばかりだから、ついつっくけて考えてしまうんだ。
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