悲鳴

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近くにいた生徒たちが慌てて飛びのく。 すると今までクラスメートが座っていた場所へ向けて、椅子を振り下ろしたのだ。 再び教室内に悲鳴が響いた。 一体どうなってるの!? 混乱する教室内、太君と同じ柔道部の男子3人が同じように暴れ始めたのだ。 「なにこれ!?」 「誰か止めて!」 「先生を呼んで来い!」 あちこちから怒号が聞こえる。 あたしは暴れだした4人から距離を置くため教室の前方へと走った。 「遥!」 純也が走ってきてあたしの手を握り締めた。 2人とも手のひらは汗でびっしょりとぬれている。 「どうなってるのこれ!?」 「俺にもわかんねぇよ!」 叫ぶようにして会話しなければ悲鳴によって言葉はかき消されてしまう。 突然豹変した4人の男子生徒たちを見ると、全員目が灰色に変化しているのがわかった。 「目の色が……」 呟いたとき、太君が1人の女子生徒を持ち上げた。 ただ持ち上げたのではない。 右手で細い首を締め上げているのだ。 女子生徒は必死にもがくが、太君は手の力を緩める気配がない。
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