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信じられない光景に言葉を失う。
「なにしてんだよ!」
太君と仲のいい男子が止めに入る。
しかし、太君はその生徒を空いている方の左手で突き飛ばした。
男子生徒は床に転がる。
「やめて! 死んじゃう!」
「太君やめて!!」
女子も男子も必死で太君へ声をかける。
しかし、太君には聞こえない。
ギリギリと締め上げられて、女子生徒の顔は真っ青になってきた。
口の端から泡が溢れ出す。
本当に死んじゃう!!
そう思ったとき、知らない間に体が動いていた。
「やめて!」
叫び、太君へ向けて走る。
体全体でタックルするようにして太君にぶつかった。
でも……鍛え上げられた体はビクともしない。
太君は女子生徒を締め上げたまま、あたしへ視線を落としたのだ。
その威圧感に全身から血の気が引いていくのを感じた。
太君が女子生徒を手から離す。
女子生徒は身がまえることもなく無力に落下し、頭が床にぶつかった瞬間ゴッ! と鈍い音が聞こえた。
その目は見開かれ、もう何も見ていないことがわかった。
死んでる……!
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