悲鳴

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悲鳴が喉に張りついて出てこない。 目の前で同級生が殺された事実に頭の中が真っ白になる。 その間に太君の手があたしに伸びていることに気がつかなかった。 大きな手があたしの視界に入ったとき、ようやく顔を上げたのだ。 まずい……! 太君の手は今度はあたしを狙っていた。 教室内では他の3人が暴れていて、みんな人のことを気にしている場合じゃなかった。 あたしは必死に手を伸ばし、冷たいものを掴んでいた。 横目で確認してみると、それは誰かの椅子だった。 この際なんでもかまわない。 太君の動きを少しでも止めることができるなら! ギュッと目を瞑り、こちらに手を伸ばす太君めがけて椅子を振り上げた。 そのまま精一杯の力をこめて振り下ろす。 椅子は確かな手ごたえを感じて、そのまま床に落下した。 目を開けてみると太君が腕を押さえて腰を落としたところだった。 今だ! 攻撃した勢いのまま一気に立ち上がり、教室後方へと逃げ出した。 その先にいたは純也と雪と香の3人だった。 3人とも青ざめているが怪我はなさそうだ。 「遥!」
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