悲鳴

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純也が手を伸ばし、あたしの腕を掴む。 そのまま引っ張られて純也の胸の中に包まれていた。 自分の心臓は早鐘を打ち続けている。 もう少しであたしも首を絞め上げられるところだったのだ。 しかし、教室内の惨状は変わっていない。 太君を含めた4人の男子がクラスメートたちに次々と襲い掛かっているのだ。 ある者は素手で容赦なく相手を殴りつけ、ある者は椅子や机を使って攻撃している。 やっかいなのが、全員が筋肉質な体系をしているということだった。 見るからに不利なのだ。 「くそっ! こいつら全員教室から追い出せ!」 そう叫んだ男子生徒は手にホウキを持っていた。 そんなもので撃退できるは思えなかったが、素手のままよりまだマシだ。 男子生徒たちが同じようにホウキや椅子などを武器にして、4人をジリジリとドアのほうへと押しやっていく。 4人は「うー」とか「あー」とか、言葉にならない声を上げながら攻撃を仕掛けてくる。 その姿はまるで、自分が人間であることすら忘れてしまったかのように見えて、背筋が震えた。 「出て行け!」 机を振り上げて叫ぶ生徒。
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